遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

小規模なオーディオシステム構築

今の努力だけが未来を切り開く。
それが、若い時にしか抱くことのできない夢だなんて、私は信じたくなかった。・・
人は、生きているかぎり未来を持っている。・・
たとえ幾歳になろうと、
二度とはない人生の大切な一部分を生きていることに変わりはないのだから、
胸に抱いた夢があるなら、そのために力をつくすべきだ。
藤本ひとみ 『皇帝ナポレオン』

いつか死ぬまで、変化し続けることが避けられないのならば、

運命の暗闇から目を上げて太陽を見つめよう。・・・
避けられないことから逃げずにむしろ抱きしめる、
その魂の姿勢の中に真実があると信じて。
茂木健一郎 『今、ここからすべての場所へ』

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前回の記事で、オーディオの基礎知識を確認したうえで、さあどんなオーディオシステムを構築するかです。今回はオーディオシステム構築の実際について書いてみましょう。

これは有名な話なのですが、昔ある音楽雑誌で9800円のスピーカーと100万円のスピーカーの聴き比べをする企画で専門家がすべて9800円のスピーカーに軍配を上げたことがあったそうです。

つまり、高額なオーディオ機器を買い揃えたからと言って、高音質な音になるとは限らないということです。
人によって好みも違うので、あれこれ買ってばかりいるとそれこそ「オーディオ沼」に引き摺り込まれてしまいます。定在波(※)の影響を避けるために、部屋の壁に吸音材を張ったり、スピーカーのウーファーの位置を高くしたり、スピーカーを安価な防振素材の上に設置するだけで音は変わってきます。
(※)定在波;入力波と反射波が干渉しあって、本来進行波である音波がそこに定在して振幅しているように見える現象。

プロの音響システムの構築ではない限り、限られた予算でちょっとした工夫で個人的に楽しめる音響空間はできると思います。

そうはいっても、オーディオ機器の心臓部はDACアンプスピーカーなので、予算の7~8割を充てることになるのは致し方ありません。娯楽にどれだけ投資できるか、初めから枠組みを決めておくことが大事だと思います。

【目的】
PC保存の動画&音楽、及びインターネットサイトの動画&音楽を高音質で視聴すること。

【要件】
・それほど広くない個室に設置するので、最小のオーディオ機器構成にする。
ハイレゾ音源も扱えるようにする。
・スピーカーは2.1CHまでの構成にし、ホームシアターまでの拡張は想定しない。
・初めからNASネットワークレシーバーを前提にしない。
・スピーカーはブックシェルフ型(小型)にする。
・アンプも机上に置ける小型のDAC内蔵アンプにする。
・予算は合計で10万円前後を目安にする。

【機器構成】
オーディオ機器構成(計画)は下記の図のようにしました。

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(補足説明)
この計画から実際は予算上の理由でサブウーファーと、リッピング用CDドライブは急がないので別途検討としました。

インターネットサイトの動画や音楽を再生するときはPCからHDMI切替器に接続し、デジタル音声を分離してアンプへ光ケーブル又はCOAXIAL同軸ケーブルで入力するようにしました。
デジタル音声なので、HDMI切替器を通しても音質劣化はないと考えたのです。

このような構成にしたのは、HDMIを入力するアンプはAVアンプ(レシーバー)になり、かなり大げさな機器になってしまうのでこのような機器構成にせざるを得なかったという事情があります。
音響メーカーでは、筆者のようなニーズはあまりないと考えているのでしょう。

購入したHDMI切替器にもDACが搭載されておりアナログ音声出力(RCA)もできる(「オーディオ機器構成(計画)」※3参照)のですが、アンプに内蔵されているDACの方がはるかに性能がいいので、HDMI切替器からはそのままデジタル音声を分離出力させてアンプ内のDACでアナログ変換しています(同※2参照)

光ケーブルより同軸ケーブルの方が安定した信号になると聞いていましたのでHDMI切替器からアンプまでは同軸ケーブルで接続しましたが、人間の耳に違いは聞き分けられないので、どちらでもいいと思います。

【購入機器】
DAC内蔵アンプ:DENON PMA-60
入力;USB×1、coaxial×1、optical×2、AUX×1対(audio in)
出力;スピーカー1系統(バナナプラグ使用可)、SUBWOOFER×1
縦置きが出来るので机上に置くのには省スペースとなりました。
PC間はBluetooth接続が可能ですが、通信がプチプチ切れ使えません。Bluetoothは遅延があり、アンプ内の電気ノイズ発生があるので、Bluetooth機能はOFFにしようと思っていましたので影響はありませんでした。

ヘッドフォンDENON AH-GC30
これまで使っていたヤマハのヘッドフォンがボロボロになったのでこれを機会に買換えました。

スピーカー:Klipsch R-15M(英国製)
Klipsch R-15Mは、多分国内で手に入るブックシェルフ型のスピーカーでは能率が一番いいものです。
能率とは感度(System Sensitivity)とも言い、dB/W/mで表します。つまり、1mの距離で1W当たりどれだけの音圧が出るかという出力音圧レベルを表す指標になります。
同じシリーズのR-14Mが90dB、R-15Mが94dB。
能率が高いと、高域では生々しい音が出るのですが、低音が出にくいという特徴があります。低音域をサブウーファーで補えばいいのですが、予算を軽くオーバーするので別途検討としました。

HDMI切替器(音声分離):BLUPOW BL-VA56 ほぼ中華製しかないのであまり選択肢はありませんでした。

(備品)
CANARE 4S6スピーカーケーブル1.5m×2(バナナプラグ付)
スピーカースタンド0.9m(2台1組)天板がスピーカー底面積に合うのが中華製しかありませんでした。
スタンドの空洞の柱にそれぞれ家にあった2㎏の重りを収納して安定させました。
オーディオテクニカ インシュレーター4個/台×2(6個1組×2)
CANARE L-3C2VSデジタル同軸ケーブル1m×1
Panasonic HDMIハイスピードケーブル0.5m×1
ヘッドフォンジャック変換アダプター(6.35mm⇒3.5mm)

【購入価格】
ヘッドフォンとヘッドフォンジャック変換アダプターは買換えなのでそれを除くと合計で112,085円(消費税・送料込み)。amazonポイントを使ったので、実際は105,036円。
ヘッドフォンとヘッドフォンジャック変換アダプターを入れた場合の合計は13万円弱となります。ヘッドフォン関連は買換えなので、これを除けばほぼ予算通りでした。

中華製でも最近は高性能のDAC内蔵アンプもあるようです。それだともっと低価格で予算が組めると思いますが、アフターサービスのこともあるので試す勇気はありませんでした。

スピーカーケーブルとcoaxial同軸ケーブルCANAREのものを購入したので、普及版のケーブルでよければ多少は費用圧縮できると思いますが、そこはちょっと拘りました。

【実際に機器を設置してみての感想】
HDMI切替器にはRCA音声出力は不要でした。デジタル音声出力ができるHDMI切替器で十分でした。
HDMI切替器の仕様なのだと思いますが、切替器を通してモニターに接続すると映像と同時に音声もモニタースピーカーに出力されてしまいました。なので、モニターにダミーのイヤフォンジャックを挿してモニタースピーカーからの出力を止めました(「オーディオ機器構成(計画)」※1参照)

・スピーカースタンドは机と同じくらいの高さ(70㎝)のものを発注したのですが、さすが中華製、高さが90㎝のものが届けられてしまいました。送り返すのも面倒だし、ちょうどスピーカーのウーファーの位置が耳の高さくらいになるので、まっ、いいかということにしました。70㎝の高さだとウーファーの位置が少し低いので、スピーカーを上下逆に設置しようと思っていましたので。

実際の設置は下記のようになりました。

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(注)モニター右にアンプを縦置きにし、通常PCは閉じてモニター左のPCスタンドに立てかけています。HDMI切替器はモニターの後ろに設置しています。地震対策として、スピーカースタンドと机をロープでつないでいます。

音響工学の専門家ではありませんので、これらの機器構成でどれほどの音質かを計測して客観的な数字として提示することはできないのですが、確かに低音域に不足感があるように感じました。が、当たり前と言えば当たり前なのですが、はやり安価な中華製のPCスピーカーとは比較にならないほどクリアーで迫力のあるサウンドが聴けるようになりました。

【最近視聴しているのはYouTube

PC保存の音源より、最近はYouTubeの音楽動画を楽しんでいます。YouTubeは全ての音源に高音質を期待はできませんが、9割くらいは映像も含めて楽しめます。アルバムのようなものは画像固定が多いですが、長時間のBGM動画は環境映像が流れるものが結構あります。
古いところではフルトベングラーのベートベンや、トスカニーニなんかも聴くことが出来るのには驚きました。当然ながら音質はあまり良くはないのですが、ベートーベンの5番はやっぱフルトベングラーだな、とか思います。

クラッシックではないのですが、YouTubeからお勧めの音楽動画をご紹介しましょう。
どれも海外の才能を発掘するオーデイションから世に出た歌手の動画になります。

Laura Bretan
世界的に有名な才能発掘オーディション、America's Got Talent(AGT)2016に13歳で驚愕の歌唱力で登場し、その後2020/08/03に公開された曲"Adagio"の動画です。

www.youtube.com

同じ曲でも他の歌手のと聴き比べるのもいいものです。
Lara Fabianもいいです。

www.youtube.com

Anjelina Jordan
Norway's Got Talent(NGT)2014に7歳で登場し、その後AGT2020に13歳で優勝しました。ステージに立つときは裸足なので、裸足の王者と言われました。
あのQueenの名曲"The Show Must Go On"を歌ったビデオ(2019/02/20公開)です。

www.youtube.com

ちなみに、British's Got Talent2019で出演したスペインの優勝者Cristina Ramosと聴き比べてみてください。彼女はオペラ歌手出身で、圧倒的な声量と演出には驚きます。

www.youtube.com

この動画の説明の部分に歌詞が記載してあります。
Queenのボーカル、フレディがこれを歌ってほどなくしてエイズで亡くなるのですが、この歌詞はフレディ自身の人生を象徴しているようで聞き入ってしまいます。翻訳より原文のほうが歌詞の意味が伝わっていいと思います。

こんな風に、音楽動画を視聴しています。
ブックシェルフ型とはいえ、やはりちゃんとしたスピーカーは音の解像度と迫力が違いますね。

YouTubeには邦楽から洋楽の広範なジャンルの音楽動画がたくさんアップされており、無料で楽しめるので大変気に入っています。特にライブ映像はその場の臨場感を味わえます。ぜひ、デジタル音声をDAC経由にしてオーディオ機器で聴いて頂ければ、PCやスマホで聴いていた音楽とは違うクリアーで迫力のあるサウンドを楽しんで頂けると思います。

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【今後の検討課題】
暫くは、このサウンド環境で行こうと思いますが、物足りなく思うようになったらまた次のトライをしてみようかと思います。まあ、気力があればの話ですが、下記が今後の課題になるでしょうか。

・スピーカーの低音域が不十分ならサブウーファを検討する。
・CDをPCに取り込むための利便性を考えCDドライブを検討する。
現在は音源を扱うPCにリッピング用のCDドライブがなく、別のPCから取り込んでファイルを移動する必要があるためです。PCに取り込んでないCDが、まだ20枚ほどありますので。
・音源管理用のNASサーバー設置を検討する。
・音源再生コントロールが簡便なネットワークサーバーを検討する。

 

低予算で簡単なオーディオシステムを構築する参考にして頂ければと思います。