遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

フェルメールからのラブレター展(2)

遠き言葉よ、祈りとなりて
淡き陽に、満つる部屋の魂に届け
ラビスラズリの蒼き輝き
(モンモ・カフェオーレ卿)

 

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フェルメール 『青衣の女』 1662-65年
アムステルダム国立美術館

 

遠くヴェネツィアから来た手紙
何日もかかってようやく辿りついた言葉

商用で地中海へ行き、戻るにはまだ3カ月ほどかかる

お腹の子は、元気そうか、両親も健やかにしているか
デルフトの地にも、春が訪れていよう
もう花々は咲いているか
夏の盛りには帰るから、子供が生まれる頃には間に合うはずだ
元気でいるから心配するな

 

遠き旅路から寄せられた気遣いに、頬もゆるむ
季節は穏やかな春の光に満ちて、
静謐な部屋に、時間は止る

途中の戦火に会わぬよう、盗賊や海賊に会わぬよう祈る
どうか無事に帰ってこられますように
そして、無事に元気な赤ちゃんが生まれますように

文字に込められた魂を、胸に抱き
想いを載せた言葉は、わが希望、
部屋に満ちたラビスラズリの、蒼き輝きは祈り、
神よ、われらに祝福を与えよ、と。

 

フェルメールからのラブレター展
2011年12月23日-2012年3月14日 Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)