詩
答えが返らないことを知りながら、それでも「なぜ?」と問う 「問い」は繰り返し訪れる現実解は、必ずしも心を満たすことはなく、再び「なぜ」と問いかけてしまう あてのない明日に、不確かな過去に、男も女も「なぜ」と問う時代に生きている だから、問うこ…
騒音の及ばない部屋は、暖かい空気に満たされ、静かにレクイエムが流れている時間はセピア色に染まってしまったかのようだ その人の人生に降り積もった時間あれから、5年が過ぎる 3.11は街並みだけでなく、人生をも破壊した地獄のような廃墟を抜けて残った…
ほら、雨が降ってるってば傘にお入り、濡れちゃうよ遠慮しなくていいんだってば いつしか、そんな日々があったことを忘れてしまういつの間にか、忙しさに消えてしまった優しい日々それが大人になることだと、思いたい人々がいる 偽りと、不正と、強欲のはて…
ふと、外を眺めたいと思う部屋の窓から、新しい世界を知りたいと願うそこに、未来が在るとでも言うように 見知らぬ運命が、そこにある気がしてしばしの間、窓から外を眺めている 枯れ木に雪が寂しくまとわりついて風景はちょっと灰色に冬化粧ここに色彩を強…
もうすぐ一年が過ぎるあなたにはどんな一年だっただろうか 出発の年、出会いの年、別れの年、季節が変わるたび、人は人生のページをめくる綴られる言葉は、どんな色合いを帯びるのだろう幸せか、悲しみか、喜びか、落胆か、 この惑星に、戦争、暴力、抑圧、…
初夏を思わせる陽ざしを逃れるように今日の空は厚い雲に覆われている 街路樹の緑が鮮やかになっていく季節に少し後戻りした涼しさにほっとしている 時が進めば、眩い光と灼熱の季節が訪れる梅雨の時期を超えて、やってくる暑い予感に慄く いく度目かの季節が…
遠くに望んだ山並みに白く靄がかかっている 街はくすんだ灰色に佇み、雪雲を吹き払った空だけが蒼い きっと雪国の山々は、重く白い世界に閉ざされているだろう 冷たい外気を断ったガラス戸のこちら側だけが優しい陽ざしに暖かい ルノアール 『イレ-ヌ・C・…
深夜、あまりの静けさに、思わず部屋の窓を開けた 異次元の扉を開けたのかも知れない瑠璃色に、夜が輝いていたのだ 煌めく星々と月が、一面に降り積もった雪を照らし、闇を蒼い濃淡に染めあげていた 視界いっぱいに、家並や木立のシルエットが、銀色に光る雪…
台風が来るたび、秋が深まっていくようだたびたび光を求めて空を眺めやるが、重く厚い雲が視界を占める 世相を覆う暗雲にも似て、と思うが、荒れ果てた人々の心のようにも見える ミケランジェロ 『ピエタ』 サン・ピエトロ大聖堂 1499年 ときに人生は過…
ビルから雲ひとつない濃紺の空に初日の出を見たことがあった まだ暗く、星々が煌めく空を東から紫色に染めあげながら太陽が昇って来たのだった まだ暗い、低いビル群を冷たい闇の底から救い出すように長い影を西へと追いやって、明るくしていった 私たちの未…
水平線が厚く低い雲塊に消えて三月の海は視界いっぱいに灰色だった 短い防風林を抜けた砂浜にはあの時と変らぬ波が、静かに寄せていた 狭い浜に、時間から取り残されたような岩に腰をおろし海から吹きつける風を、正面から受けていた あの日、白い砂と四つ葉…
地球が24時間の周期で自転し、365日で、公転している営みには区切りがない 惑星の運動は、太陽が膨張し始め、地球が飲み込まれる50億年後まで続くのだ 生存し続けるまで、私たちは、その運動の周期を区切り、意味を与える 子供たちの成長に、人生の節…
記憶の空へ(「はてな」Ver.) 身を切られるような北風の中を歩いていた目を細めて見上げた都会の夜空は澄んでいたに違いない星は見えなかったが、三日月の脇に金星が輝いていた あの時も、三日月と金星だった またクリスマスの日がやってくる必ず巡ってくる…