2013年元旦 未来へ
ビルから雲ひとつない濃紺の空に
初日の出を見たことがあった
まだ暗く、星々が煌めく空を
東から紫色に染めあげながら
太陽が昇って来たのだった
まだ暗い、低いビル群を
冷たい闇の底から救い出すように
長い影を西へと追いやって、明るくしていった
私たちの未来が、「かくあれ」と
祈らずにはいられない壮麗な光だった
この惑星(ほし)にきみは生まれ
この時代に、きみは生きている
乾いた大地に、水を求め
昏い空に、命の輝きを見ようと
幾千年も生命をつないできたのだ
銀河の片隅で、限られた一瞬の人生を
この惑星の重力に縛られながら
太陽と共に、50億年の運命を生きようと
だから、私たちは
「時」と「空間」を超えようと
宇宙の真実を探し続けてきたのだ
われらホモ・サピエンスに未来はあるか
私たちの運命に可能性はあるか
はるか遠い過去から
進化の記憶をDNAに織り込み
太古の生命(いのち)の痕跡をこの身に宿して
私たちは、こんなにも遠くに来てしまった
宙(そら)から見れば、地球に国境はない
なのに人々は、線を引き、争う
平和を望みながら、戦争を続ける
飢えも、病苦も、苦難も続く
この惑星の二次元に這いつくばって
今日の糧を探し廻るばかりだ
それでも、人間の英知を信じよう
私たちの可能性を信じよう
幾千の困難と戦ってきた祖父たちの血脈に連なって
未来へ歩き続けよう
そして、ひととき、夜空を見上げよう
そこには千億の銀河が、輝いている
それは、きみの未来であり、可能性だ
だから、その輝きを記憶にとどめて
新しい一年を歩き始めよう
きみよ輝け、オリオンの空に
(完)