遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年 読書総括

人間が偏狭な考えや狂信を避けうるのは、多くの書物を虚心に読み、自由に考えることしかない。(辻邦生 『春の戴冠』 新潮社) わたしは世界中のすべての本を一冊ずつ欲しい!(サー・トマス・フィリップ) 今年は少し落ち着かない年でしたので、なかなかブ…

リサ・ランドール ダークマターと恐竜絶滅

この広い宇宙のなかに、私たちがこうして存在していることの驚異を思うと、私はいつも元気が湧いてくる。世界のつまらない争いにも、目先の心配事にも惑わされずに、科学が世界について教えてくれることの広大な範囲をしっかり視野に収めていこうと。・・・…

ピタゴラスの定理を使わないで

科学者を目指す若者に、中等教育で最も励んで欲しいのは数学、特に平面幾何学である。(福井謙一;1981年ノーベル化学賞) 今、じゃまされずに使える時間は少ない。・・・サービス過剰だ。ここでは子供たちに教える必要はない。静かな環境と、材料を与えれば…

小学生の算数問題

一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見るつかみたまえ、君の手のひらに無限を、一刻の時に永遠を(ウィリアム・ブレイク) 精密でエレガントな雰囲気を感じさせる厳密な数学的分析の美しさに目を奪われて、プロセス全体を左右する前提の欠陥を見過ごし…

シェイクスピア没後400年(2)

よき友よ、イエスの名にかけて控えよここに埋葬されし遺骨を掘りだすことをこの墓石を動かさざる者に祝福あれ、わが骨を動かす者に呪いあれ (シェイクスピア墓碑銘) シェイクスピアのデビュー作とされるのは『ヘンリー六世』三部作です。後に続く『リチャ…

シェイクスピア没後400年(1)

When we are born,we cry that we are comeTo this great stage of fools.人間、生まれたときに泣くのはな、この阿保どもの舞台に引き出されたのが悲しいからだ。(『リア王』より) There are more things in heaven and earth,Horatio,Than are dreamt of …

自由の空と海へ

答えが返らないことを知りながら、それでも「なぜ?」と問う 「問い」は繰り返し訪れる現実解は、必ずしも心を満たすことはなく、再び「なぜ」と問いかけてしまう あてのない明日に、不確かな過去に、男も女も「なぜ」と問う時代に生きている だから、問うこ…

3.11から5年

騒音の及ばない部屋は、暖かい空気に満たされ、静かにレクイエムが流れている時間はセピア色に染まってしまったかのようだ その人の人生に降り積もった時間あれから、5年が過ぎる 3.11は街並みだけでなく、人生をも破壊した地獄のような廃墟を抜けて残った…

雨に遊んで

ほら、雨が降ってるってば傘にお入り、濡れちゃうよ遠慮しなくていいんだってば いつしか、そんな日々があったことを忘れてしまういつの間にか、忙しさに消えてしまった優しい日々それが大人になることだと、思いたい人々がいる 偽りと、不正と、強欲のはて…

窓に描く春

ふと、外を眺めたいと思う部屋の窓から、新しい世界を知りたいと願うそこに、未来が在るとでも言うように 見知らぬ運命が、そこにある気がしてしばしの間、窓から外を眺めている 枯れ木に雪が寂しくまとわりついて風景はちょっと灰色に冬化粧ここに色彩を強…