3.11から5年
騒音の及ばない部屋は、暖かい空気に満たされ、
静かにレクイエムが流れている
時間はセピア色に染まってしまったかのようだ
その人の人生に降り積もった時間
あれから、5年が過ぎる
3.11は街並みだけでなく、人生をも破壊した
地獄のような廃墟を抜けて
残ったものたちは、時間を再び起動して
寒空のなかで、重い一歩を踏み出した
悲しみを封印し、生活に向き合いながら、
子供たちが成長していく喜びや
かけがえのない人のいることに
ささやかな倖せを感じることもあったかもしれない
今は、そんなささやかな倖せを抱きしめることがあっていい
不均等な幸運や不運をやり過ごしながら
人は自分に訪れる出来事を受け入れて
それぞれの人生に向き合うしかない
喪失は容易に満たされないが
それでも、不確かな未来に向き合って
新しい可能性を見出せるのだと信じよう
あの空と海に、君の祈りは届いただろうか