遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「だからダメ・・・なの?」

長くサラリーマンをしていると、数えきれないほど会議をしていると思う。シリアスな雰囲気の中にも、こんな場面がある。ちょっとホットするこんな会議や、あんな会議をご紹介しましょう。 【登場人物】 モンモ;一応・・A社の責任者タカ;モンモの部下、A…

フェルメール 光と影の魔術師

真珠の耳飾りの少女 1666年 マウリッツハイス美術館 何気なく振り向いた視線の先にはどんな未来が待っていたのだろう光と影をその身に映して、想いは遥かな時を翔ける 牛乳を注ぐ女 1659年 アムステルダム国立美術館 朝陽が柔らかに室内を満たしてい…

待ってくれ、オレの「身体」

この話は、仕事で長く付き合いのある知人から聞いた話である。知人(仮名;ノリ)とその友人(仮名;ヨシ)が、高校時代に体験したという。 ノリとヨシの二人は高校一年で、中学からの友達だった。ヨシは、高校に入ってすぐ、バイクの免許をとり、やっと念願…

2011年ヴィジェ・ルブラン展

権力はそれを持つ者が死ねば終わりだが、芸術は、それがホンモノであれば永遠の命をもつ。(塩野七生 『ローマ亡き後の地中海世界 下』 新潮社 2009年) ポリニャック公爵夫人 ヴィジェ・ルブラン 1782年 ヴェルサイユ宮殿美術館 写真のなかった時代…

マルタの鷹ラ・ヴァレッテ わが武器は「気概」のみ

もどってムスタファに言え。ムスタファが手にすることのできるマルタの土地は、ムスタファの墓だけである。(ラ・ヴァレッテ) 42年前のロードス島攻防戦で、ロードス騎士団はトルコ軍に敗れた。「武器を持っての名誉ある退去」を許可されたとはいえ、同じ…

3.11 津波との競争

きみがこの先の人生を切り抜けていきたいと思うなら、死んだ者をあきらめることを学ばなければならない。J・ディーヴァ― 『ボーン・コレクター』 文春文庫 3月11日の午後、宮城県名取市。これは、東北地方を襲った津波から逃げた、友人の家族の話である。 3…

ユトリロ 酒と絵に溺れた人生

オレは狂ってなどいない。ただの酔っ払いだ。(モーリス・ユトリロ) もう随分前になるが、友人とユトリロの展覧会を見に行ったことがある。大きなモンマルトルの風景画コピーを一枚買ってきて、部屋の壁一杯に貼っていた。 そのモーリス・ユトリロ展が、去…

勇将、知将、その名はイベリン

要するに、「戦闘(バトル)」とは、それに参加する兵士たちを率いる人の、能力と気概にかかっているのである。(塩野七生) 第一次十字軍によって創られたイェルサレム王国も、その後イスラム側の攻勢に晒される。しかし、十字軍側は、数多くのクラク・ド・…

タンクレディ 第一次十字軍の若き英雄

今なおヨーロッパ人は、・・信義に厚くそれでいて若々しい、永遠の若者を想い起こす(塩野七生) 第一次十字軍によって作られた十字軍国家は、東地中海に面して北からアンティオキア公領、トリポリ伯領、イェルサレム王領、そしてアンティオキア公領の東に隣…

君は円月殺法を見たか

その一瞬は、鮮やかな映像となって記憶に残っている。 中学生の剣道の試合というと、そのワザは「小手(コテ)」「面(メン)」「胴(ドウ)」に限られる。社会人や学生の試合で、これに「突き」が加わる。 私の中学の剣道部は、その市では強豪校であった。…

鎌を持った影

何年前のことだったか、季節はいつの頃だったのか、全く覚えておりません。 ただ、とても疲れて家に帰ってきて、家族に、少し横になってくる、と言って2階の寝室で寝ていました。雨戸は閉めてあったので、もう夜であったことは確かです。しばらく寝ていて、…

父の訪問

それは、1999年1月のある日のことでございました。父の葬式が済んで、家に帰ってきた夕方、「こんばんは」と、訪れた人がいました。 誰だろうと玄関にでてみると、なんと中学時代の友人ではありませんか。「家のそばを通ったら、どなたか亡くなられたよ…

UFOと予知夢

近代合理主義のもと、現在の文明を支えている科学から見れば、それは何らかの「脳記憶システムの錯覚」、「自然現象の誤認」ということで、理由づけされるのかも知れません。そうした体験を、私もいくつかしたことがあるのです。 今回は2つほど、不思議な話…

ヴィジェ・ルブランの自画像

ヴィジェ・ルブラン(1755-1842)は、18世紀後半に活躍した女性の画家で、今日では、この時期の最も有名な女性画家とされる。革命前のフランス王侯貴族の肖像画を多く描き、マリー・アントワネットのお抱え画家として活躍した。2つの自画像をご紹…

映画『300』 テルモピレーの戦い

ラケダイモンの里人に告げて知らせよ、かの言葉に従いて、我らここに伏せりと(コロノス碑文) (映画 『300』より) 『300』という映画があった。見たいと思いつつ、なかなか見れなかったのを何とか見たことであった。 あまり解説やら説明はなかった…

ハプスブルク家 皇女エリザベート

ハプスブルク王朝が滅亡しなければ、中欧の諸国はこれほど永い苦難の歴史を経験しなくともすんだであろう(チャーチル) 女帝マリア・テレジア(マリー・アントワネットの母)以降、ハプスブルク家の主な人々の家系図には、二人のエリザベートが出てきます。…

白洲次郎 君子の交わり、淡きこと水の如し

君子の交わり、淡きこと水の如し(荘子) 学校を卒業して、それぞれ異なる進路を選ぶと、就職した後の赴任先もバラバラで、なかなか友人には会う機会がない。それでも、たまに会うと、会った瞬間に、会えなかった時間と空間を一挙に超えてしまう。利害関係が…

2010サッカーW杯 プレトリアの死闘

やることをやって、もし負けるのなら、胸をはって帰れるはずだ。(イビチャ・オシム) 昨年のサッカーワールド杯が終わって、多くの日本人選手が海外で活躍するようになりました。それも、昨年のワールドカップでの日本チームの活躍が、海外クラブチームの目…

脳と幽体離脱

脳には1000億個の神経細胞があるといいます。医学・生理学賞でノーベル賞をとった利根川進さんは、人間にとって「脳」は、最後の研究フロンティア、という主旨のことを話していましたが、随分と研究が進んだとはいえ、人間の脳はまだよくわかっていませ…

イチロー プロフェッショナルの条件

小さなことの積重ねが、とんでもないことに至る唯一の道だ。(2004年)確かな一歩の積み重ねでしか遠くへ行けない。(2009年)(イチロー)2004年;MBLシーズン最多安打歴代1位を記録2010年;10年連続200本を記録 昔から、一流のアスリートの本を、時折り…

ベネツィア1000年 「聖マルコ、共和国、自由」

お前と結婚する、海よ。永遠におまえがわたしのものであるように (注)12世紀に始まるヴェネツィアの祝祭「海との結婚式」。アドリア海制覇の契機となった元首ピエトロ・オルセロ2世が出陣して行った日、キリスト昇天祭の日の儀式で、金色に塗られた豪華…

フランス革命 ミラボーが伝えたかったこと

フランス革命の一断面。ミラボーの最後の一幕。タレイラン、ロべスピエールをめぐる人間模様から。 ミラボー Honore Gabriel Riqueti,comte de Mirabeau 1749-1791タレイランは、オータン司教であるのに、宗教は彼の政争を生き抜く道具でしかない。はなから…