遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

鎌を持った影

何年前のことだったか、季節はいつの頃だったのか、全く覚えておりません。

ただ、とても疲れて家に帰ってきて、家族に、少し横になってくる、と言って2階の寝室で寝ていました。雨戸は閉めてあったので、もう夜であったことは確かです。
しばらく寝ていて、思わず目を覚ましました。

寝室のドアが開いていて、階段と2階の廊下を照らす明かりが点いていましたので、電気も消さず、ドアも閉めず、そのまま眠りこんだのだな、よほど疲れていたんだ、と思いました。

ドアの方に足を向けて寝ていて、視線をやると、寝ている身体越しに、開いたドアの向こうに、明かりのついた廊下が見えていました。
身体を動かそうとしました。
・・・・・?
身体が動きません。
家族を呼ぼうとしましたが、声も出ません。

(金縛り?)

話には聞き、本でも読んだことがありました。
それでも、何とか身体を動かそうとしましたが、意志に反して全く動きません。
脂汗が出てきました。
ここまでなら、普通の金縛りの話しだったでしょう。

そしてふと、明かりに照らされた2階の廊下に目をやると、何かが見えます。
何だろう。

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それは、「黒い影」でした。輪郭のはっきりした黒い影。
フードをかぶり、長いマントのような服を着た影。
その者の表情も、分かりません。
全身、黒い影だったのですから。

そして、何か持っているようでした。
頭の上に、三日月型の大きな・・「鎌」?
長い柄を手に持ち、その先端には、頭上に大きな鎌の影。

(何・・・?、ひょっとして、死神?)

その影が、廊下を歩いて、寝ている私のほうに近づいて来るのです。

ひょっとして、とってもとっても危ない状況なのでは?
身体は動きません。声も出ません。

でも「死神」とおぼしき影が近づいてくるのです。

(オレは、・・死ぬのか?)

さすがに冷静沈着な私も、パニックに陥りました。
そして、その「死神」は真っすぐ私に近づき、寝ている私の身体の上を通り抜けようとしました。
(あ~、神様)
思わず、眼を閉じました。
・・・・
しばらくして、眼を開けた時、私は何事もなかったように、その部屋に横になっていました。しばらく、部屋の様子を目だけ動かして確認しました。
大丈夫、あの影は消えていました。

あ~、よかった。なんともなかった。
そして、手足も、身体も動くようになって、金縛りも解けていました。
汗びっしょりになっていましたけれど。

死神の黒い影が、私の身体を通り抜けても、私は具合の悪いところ一つなく、それまで通り元気でした。
なぜか、この体験をした後、私は以前より、もっと元気になったように思います。
何しろ、「死神」入りの「身体」になったのですから。
もちろん、かの死神が私の身体を通り抜けたのか、入ってしまったのか、それは分かりませんが。