2011年ヴィジェ・ルブラン展
権力はそれを持つ者が死ねば終わりだが、
芸術は、それがホンモノであれば永遠の命をもつ。
(塩野七生 『ローマ亡き後の地中海世界 下』 新潮社 2009年)
ポリニャック公爵夫人 ヴィジェ・ルブラン 1782年 ヴェルサイユ宮殿美術館
写真のなかった時代、目で見た美しさは、絵によってしか表現できなかった。
詩人の言葉ですら人の心には響かない。
自画像 マリー=ガブリエル・カぺ 1783年頃 国立西洋美術館
美しいと思ったものを表現することは、ギリシャ、ローマの以前から
人間にとって、生まれながらにして持つ本能のようなものだ。
クリュソル男爵夫人 ヴィジェ・ルブラン 1785年 トゥールーズ、オーギュスタン美術館
写真の持つリアリティは、確かに事実を伝えはするが、
だからと言って、必ずしも、真実を語るとは限らない。
オルレアン公爵夫人 ヴィジェ・ルブラン マルセイユ美術館
むしろ、創造者の才能を通して、真実は時を超えてしまう。
自画像 ヴィジェ・ルブラン 1794年 個人蔵
芸術は、遥かな時代を超えて蘇る。
そこで生き、時代に翻弄されながら、
芸術家がその時代に向き合って、伝えた真実がある。
「過去は、もう二度と戻ってこない。・・しかし、本当は、過去は育てることができる。何回もその現場に立ち返ることで、新たな意味を見いだすことができる。」
(茂木健一郎)
私たちは、これらの絵画に、どんな「真実」を見出すことができるだろう。