遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

小学生の算数問題

一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見る
つかみたまえ、君の手のひらに無限を、一刻の時に永遠を
ウィリアム・ブレイク

精密でエレガントな雰囲気を感じさせる厳密な数学的分析の美しさに目を奪われて、プロセス全体を左右する前提の欠陥を見過ごしてはいけない
(トーマス・チェンバレン

計算は、基となる前提が正しいときに初めて意味を持つ
(マーカス・チャウン『僕らは星のかけら』無名舎2000年)

 

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小学校の算数は四則演算しか知りません。小学生は四則演算と国語だけやれば後は中学以降で何とかなると思っているのですが、今の時代はそうもいかないようです。
英語あり、プログラミングあり、いまの小学生に必要なのはスマホやTVゲームを離れて、友人たちと遊ぶことに頭を使えばいいだろうにと思っても、それはなかなか受け入れられないのでしょう。

ネットで難関私立中学入試問題改題という算数の問題に偶然出会いました。興味をそそられ、つい方程式やらを使って解き始めてしまいました。
まあ力づくで、解けることは解ける。答えも合っているから、はいこれで終わり。
(答えはあっても、解き方が記載されていなかった)
だがちょっと待てよ。小学生は文字式方程式も習っていない(はずだ)から、どうやって解くんだ?、とモンモの関心はそちらのほうへ向いてしまいました。
それは、こんな問題です。

【問題】
直角三角形ABCがある。辺AB、辺BC上に、図のように点P,Q,S,Rを置く。
直角三角形RBP、四角形SRPQ、四角形ASQCの面積は等しく、
BP:PQ:QC=4:3:2である。
この時、RB:SR:ASを整数比で求めよ。
(以降、直角三角形は△で、四角形は□で表現)

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【前提】
小学生だから以下の条件で解くことになるのだと思います。
・四則演算ができる
・文字式は使わない
・方程式は使わない
・三角形の面積を求めることができる
・比を扱うことができる

興味のある方は、この条件下で解いてみて頂けませんか。
小学生は多分、こうやって解くんだろうな、というのが以下なのですが、この解き方にはもう一つ条件があるから(それは後程)、小学生がどうやって解くか教えて頂けたらと思うのです。

【方針】
・△RBP、□SRPQ、□ASQCの面積が等しいことを利用した関係式を作る
・その関係式から比の関係にダイレクトに持ち込む

【回答】
・△RBPと□SRPQの面積が等しい。
つまり△SBQの面積は、△RBPの面積の2倍に等しい。
(△RBPの面積)×2=(4×RB×1/2)×2=8×RB×1/2
(△SBQの面積)=7×SB×1/2
従って、RB×8/2=SB×7/2 両辺に2を乗じても等しいから、8RB=7SB
すなわち、RB:SB=7:8・・・・①

・同様に、△ABCの面積は、△RBPの面積の3倍に等しいから、
(△RBPの面積)×3=(4×RB×1/2)×3
(△ABCの面積)=9×AB×1/2
従って、RB×6=AB×9/2、両辺に2/3を乗じても等しいから、4RB=3AB
すなわち、RB:AB=3:4・・・・②

①、②より、
 RB:SB:AB
 7  8
 3    4
ーーーーーーー
 21 :24 :28       ∴RB:SB:AB=21:24:28

・ここで
 SR=SB-RB=24-21=3
 AS=AB-SB=28-24=4 だから

従って、RB:SR:AS=21:3:4・・・・(答)

この解き方は、もう一つ前提条件があります。
それは、等式についての性質について学んでいることです。
つまり、等式の両辺に同じ数字を掛けても割っても等式は成立するということです。

はたして、これは小学校で習っているんでしょうか。
難関私立中学の入試問題改題ということなので、受験生は当然塾で教わっているとは思いますが、どうなのでしょう。