遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

ピタゴラスの定理を使わないで

科学者を目指す若者に、
中等教育で最も励んで欲しいのは数学、
特に平面幾何学である。
福井謙一;1981年ノーベル化学賞

今、じゃまされずに使える時間は少ない。・・・サービス過剰だ。
ここでは子供たちに教える必要はない。
静かな環境と、材料を与えればいい。皆、教えすぎだ。
(有名中学へ生徒を多く合格させる数学塾の教師の言葉。入塾は受け付け順。
「なぜ教えないのか」と尋ねられて、「頭を使っているのに、どうして教える必要がある?」)

 

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前回の記事に引き続き、ネットで見つけた小学生の図形問題です。
ネット上には回答はありませんでした。
中学生以上だとピタゴラスの定理三平方の定理を使えば一分もかからずに解けるのですが、ピタゴラスの定理平方根を習っていない小学生はどうやって解くんだろうというモンモの好奇心からとりあげました。
これも難関私立中学入試問題改題ということです。

【問題】
一辺が1cmの方眼紙に、(図1)のように点P、Q、Rを置く。この3点を通る円の面積を求めよ。

但し、ピタゴラスの定理三平方の定理)は使わない。円周率は3.14とする。

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【前提】
ピタゴラスの定理を使わない。
平方根を使わない。
・三角形の合同条件は使わない。
・正四角形(正方形)の定義ができること。
・直角三角形の性質を理解していること。
・円、三角形の面積を求めることができること。

さあ、興味のある方は、少し頭の体操をしてみてはいかがでしょう。
ピタゴラスの定理を使えば答えだけはすぐ出るのですが、下記に答えに至るプロセスを記載しておきました。あくまでも小学生用の解き方です。

 

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【回答】
①準備
・点P、Q、Rを通る円の中心を求める。
円の中心は線分PQの二等分線と線分QRの二等分線の交点。
これを円の中心点Oとする。点Oは、(図2)のようにポイントされる。
・また(図2)のように、点Sを設けると四角形OPSRは正四角形(□OPSRと書く)。
(説明略)
・三角形OPC、PSD、SRA、ROBは大きさの等しい直角三角形(△OPC・・と書く)。
・□OPSR内にある四角形ABCDは正四角形(□ABCと書く)。
(図2)

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②□OPSRの面積を求める。
・同じ面積をもつ直角三角形の面積の合計は下記。
(△OPCの面積)=2㎠だから
(△OPCの面積)+(△PSDの面積)+(△SRAの面積)+(△ROBの面積)
=2×4=8㎠・・・・・(A)
・また、(□ABCDの面積)=9㎠・・・・・(B)
・よって、(□OPSRの面積)=(A)+(B)=8+9=17㎠・・・・・(C)
③円Oの面積を求める。
・円Oの半径をrとすると、OP=OR=rだから、(C)はまた下記のように書ける。
(□OPSRの面積)=OP×OR=r×r=17㎠・・・・・(D)
・(円Oの面積)=r×r×3.14 だから(D)を利用して、
(円Oの面積)=r×r×3.14=17×3.14=53.38㎠・・・・・(答え)
いかがでしたでしょうか。

この問題の難易度は小学生にとってどうなのでしょう。
小学校の算数は四則演算しか知りませんので、モンモに難易度は分かりません。
簡単なのでしょうか、難しいのでしょうか。