瑠璃色に輝いた夜
深夜、あまりの静けさに、
思わず部屋の窓を開けた
異次元の扉を開けたのかも知れない
瑠璃色に、夜が輝いていたのだ
煌めく星々と月が、
一面に降り積もった雪を照らし、
闇を蒼い濃淡に染めあげていた
視界いっぱいに、家並や木立のシルエットが、
銀色に光る雪をのせて、
低く、遠く近く、静かに佇んでいた
音もなく、月と星と雪が織りなした絵画
誰も知らない、壮麗な異世界を
一人、見入っていた
その時、ぼくは17歳だった
この季節、誰にでも大切な記憶があるだろう
雪が降ると、いつもあの夜の光景を思い出す
クリスマスで賑わう街を、
皆、様々な想いを抱いて歩いている
一年がもうすぐ過ぎていく、
あなたには、どんな一年だったろう
楽しい有意義な年であっただろうか
あるいは
必ずしも順調なことばかりではなかったかも知れない
でも、人生はつづく
それぞれの、クリスマスを想い、
また次なる未来の自分へ、夢を託してみよう
ユトリロ 『モンマルトルのジャン=バティスト・クレマン広場』 1945年頃
記憶のなかのあの場所、
闇はどこまでも美しく輝き、
吐く息すら透明に凍らせて、
月と星が冷たく光り、瑠璃色に輝いた夜
そこから歩いてきたのなら、
これからも、今いる場所から歩いていこう
「未来」はいつだって、そうやって「現在(いま)」になったのだから
(完)
それでは、辛島美登里さんの曲を、皆さんに贈りましょう
メリー・クリスマス、
そして、来年が良き年でありますように