めぐる季節に
初夏を思わせる陽ざしを逃れるように
今日の空は厚い雲に覆われている
街路樹の緑が鮮やかになっていく季節に
少し後戻りした涼しさにほっとしている
時が進めば、眩い光と灼熱の季節が訪れる
梅雨の時期を超えて、やってくる暑い予感に慄く
いく度目かの季節が過ぎ、
その時々の光景が記憶の断片に残る
蔦沼(青森)
まだ肌寒い春、宵闇のなかの桜吹雪
灼熱の光を照り返した夏の海
色づいた秋の山々
樹氷に埋め尽くされた白い冬山
いつの間にか長い年月が経っている
人々は変わり、世相が移ろい、世界は変貌を遂げる
想像を超える現実を前に、戸惑うばかだ
しかしいつの時代も、
未来は不透明で不安に満ちていたのではなかったか
定かならぬ現在に身を寄せて、
確かな未来を手にしようと「ピラミッド」を建て
人々を戦争に駆り立てたのだ
人間の普遍的価値、「自由」
そのために人々は血を流し
「現在」と「常識」に異を唱え、教条主義と戦った
そうやって日々を重ね
真実を見出し、あるいは隠蔽し、
海図なき世界に、それぞれの未来を描こうとした
自由に人生を選べる時代と国に生まれても
それが当たり前の世界は、本当はまだ少ない
この国だって、
日常は「常識」とやらに縛られていることも多いだろう
善意や良識が生かされる世界を願いながら
未だ多くの人々は、自由や平和とは無縁に生きている
どんな時代、どんな国に生まれても、
人は一度きりの人生を生きる
「悔いなき日々を生きているか」
どこからか師の声が聞こえてきそうだ
それでは、NSP『水と太陽』をお聴きください。