遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

革命家 スティーブ・ジョブズ

ハングリーであれ。
愚か者であれ。
私はいつもそうありたいと願っていた。
スティーブ・ジョブズ

技術者こそが本当の革命家である。
ヘンリー・ダイアー

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アップル社のカリスマ経営者と言われたスティーブ・ジョブズ氏が10月5日亡くなった。世界中のアップルユーザや経営者が、彼の偉大な業績を称え、早すぎる死を悼んだ。

米国で最も偉大な改革者の一人だった。この星で最も成功した会社の一つをガレージから作り上げ、我々の生活と世界の見方を変えたオバマ大統領)

人々のライフスタイルを変えた。芸術と技術を融合させたレオナルド・ダ・ヴィンチのような人物だ孫正義ソフトバンク社長)

創造したもので世界を変えられることを示してくれてありがとう
(マーク・ザッカ―バーグ フェイスブックCEO)

技術革新の精神と偉大な業績は世界中の人々に永遠に記憶される
(崔志成 韓国サムスン電子CEO)

彼が送り出した製品の数々によって、世界中の人々が互いを知り、理解するようになった救急救命医 キャシー・コピー)

 

21歳でアップル社を創業し、1977年パソコンの先駆けとなる「アップルⅡ」を発売し大ヒット。1984年マウスで操作するパソコン「マッキントッシュ」を世に送り出す。

が、1985年には会社から事実上追放された。

しかし1996年、破綻寸前だったアップル社に復帰し、98年にデスクトップ型PC「iMac」、2001年「iPod」、2007年「iPhone」、2010年「iPad」を次々に発表し、アップル社の売り上げは2010年には、1997年の9.2倍にもなり、アップル社を見事に立ち直らせたのである。

皆さんの多くも、きっとこれらの製品を使っていることでしょう。

 

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アップル社をここまでにしたのだから、偉大な「経営者」には違いない。
それでも、この言い方にはとても違和感を持ってしまう。

携帯電話が世に出た時、尊敬する先輩が、「これはコンピュータ端末だ」と言った。
iPhoneが出た時、この言葉は、「アップルが電話を再発見する」というジョブズの言葉にダブった。

「技術が世界を変える」
彼はそれを行った。

21歳で1億円稼ぎ、24歳で10億円、25歳で100億円の資産を手にしたが、別段気に留めたことはない。金のためにやっているのではない

何をやるにしても、会社である限り利益を出さなければならない。それが経営者だ。だから、ジョブズ氏が「経営者ではない」と言うつもりは毛頭ない。

イノベーションは開発予算が大きいからと言って起こるものではない。アップルがマックを開発した頃、IBMは少なくとも百倍の開発予算を持っていた。

金じゃない。どういう人材をもっているか、彼らをどう率いるか、
どういう問題意識をもっているかだ

術者を率いる魂をもっているか、そう私たちに問うたのだ。
だから、私の中では彼は、本質的に「技術者」だ。

明治初期、イギリスから日本の工部大学校に招かれ、近代日本の産業を担う多くの技術者を育てたヘンリー・ダイアーという人がいた。
基幹産業が、日本人自らの手によって運営可能となるよう人材を育て、その後の日本近代化の礎となった。

彼に、忘れられない言葉がある。
技術者こそが本当の革命家である。

「経営者」というより、「改革者」というより、スティーブ・ジョブズ氏は、技術をもって世界を変えた「革命家」だった。

 

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2005年6月、スタンフォード大学の卒業式で、卒業生を前に彼はこう言って挨拶を結んだ。

「ハングリーであれ。
愚か者であれ。
私はいつもそうありたいと願っていた。」

自らに忠実であり続けよ、内なる声に従って生きよ、と。
彼は今を生きる私たちに、世界を変えた技術と、言葉を残して逝った。