遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

新型コロナウィルスの春

今日は生きた。
でも明日になれば何が起こるか分からない。
そんな場所では人々は、
問題解決のアイデアを持たなければならなくなる。
(イビチャ・オシム元日本代表監督)

物事は悪化する。
マーフィーの法則

人は自分の生涯の中で、
ほんとに重大な時というものを自覚しないものである。
…そして、間に合わなくなってからきがつく。
アガサ・クリスティ『終わりなき夜に生れつく』)

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かつて、レイチェル・カーソン沈黙の春の冒頭で、薬害によって小鳥の囀りも聞こえず、虫もいなくなった春の原野の静けさを流麗な文章で描き、薬害汚染を人類に警告した。

フランスのノーベル賞作家アルベール・カミュは、『ペスト』の中で、感染者が蔓延する危機的な状況下での人間の様々な所業を描き、小説の最後に、こうした人間の所業を思い出させるために「ペスト」は復活するだろうと予言めいた言葉を残した。

いま世界は、新型コロナウィルスで15万人以上の人々が亡くなり、日本でも感染者が1万人を突破した(2020年4月18日現在)。

海外からの出入国も制限され、首都圏だけでなく全国に緊急事態宣言が出されて、企業の生産活動は止まった。人々の外出は自粛が要請され、経済はリーマンショック以上の停滞を余儀なくされている。経済弱者がどこまで持ちこたえられるか、政治も対応が遅いと批判の向きも多い。

春の休日、観光地、ビジネス街、繁華街から人が消えた。
学校は休校となり、子供たちは自宅に籠っている。
桜の満開時でも花見客の姿はまばらで、うららかな春の日でも人々は遊びに出ない。
まるで街は「沈黙の春」のようだ。

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朝7時前に家を出て、9時開店のドラッグストアーに並んでも、3月中旬以降マスクは手に入らない。
一般的なマスクの繊維の隙間は5μmで、ウィルスの大きさは0.02~0.1μmだから、マスクでウィルスのヒトへの侵入を防ぐことはできない。かろうじて医療用N95(※1)が、ウィルスを防ぐには効果的のようだ。

但し、飛沫の大きさは5μm以上なので、マスクをしている人の飛沫を外に出さず、外からの飛沫を防ぎ、飛沫の中のウィルスをある程度防ぐ機能はある。

だから、米国の政権内では国民にマスクをさせるさせないで大激論があり、結果はマスク着用を奨めると決めたと聞くが、それもウィルスの大きさとマスクの繊維隙間の大きさとの関係ゆえだろう。

※1;N95は0.3μm以上の微粒子を95%以上遮断し、空気の漏れ率を10%以下にする。この0.3μmとは、動力学的質量径(粒子密度を考慮した数値)であり、数量中位径(実際の粒子の大きさ)としては0.075μm。

ということでも、エチケットとして自分の飛沫を外にまき散らさないという意味で、マスクをすることは推奨されるべきだろうと思う。

しかし、手に入らない。いくら外出自粛でも、食料品や日用品を買いに出なければならないし、郵便局にも、免許の更新にも、定期的に近くの病院にも通院しなければならないから、マスクは必要だ。政府が1世帯2枚を配るようだが、それでは足りないし、いつ届くか分からない。

しょうがない。作るしかないではないか。

「100金」の店に、マスクの型紙が置いてあったので、作ってみた。
家族の使わなくなった水着、もらった新品のTシャツ、購入した水着生地(1m×1m)、ゴム紐(直径1.3mm)を材料にして作ったのが下記。

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(写真左上;水着マスク)
型紙の大きさが子供用と知らずに作ったので大人用には少し小さめだが十分実用的。水着から4枚のマスクが作れた。
(写真右上;Tシャツマスク)
子供用の型紙を+0.5mm大きい輪郭にして大人用型紙を作った。Tシャツの布地は2枚重ねにして縫い合わせたので、中心部分は4枚重ねでの縫い合わせになった。Tシャツから7枚のマスクが出来た。
(写真左下;水着用生地マスク

近くでよく見れば、手で縫ったゴム紐を通した部分の縫い目や、マスク上下の裁断面は慣れない素人が作ったとバレてしまうが、遠目には全く分からず、結構カッコイイのではと自画自賛している。
家族の話では、すれ違う人がチラ見して通り過ぎるような気がすると言っている。ある店の店員に「いいマスクですね、作ったんですか」と聞かれたらしい。

当分マスクは手に入りそうにない。
皆さんも作ってみてはいかがだろう。
自分の集中力と忍耐力を試してみてもいい。

(補足説明)
・マスクのインナー(フィルター)にはガーゼ又は「パイ」ガード(?想像して下さい)を使っているが、ハンカチを畳んで使ってもいいと思う。フィルターは市販されているが家にあるもので代用している。
ガーゼは使い捨てだが、マスク、「パイ」ガード、(ハンカチ)は洗って再利用。
・ゴム紐は、マスク一つに30㎝×2本なので、業務用20mを買った。
・ミシンがないので、家にあった糸と針で、全て手縫い。
・マスク1枚の製作時間;水着生地は約1時間。Tシャツ生地は約1時間30分。
・製作費;水着生地3000円、ゴム紐683円
・製作数;水着4枚、Tシャツ7枚、水着生地9枚(4月18日現在)だが予定は30枚で、合計41枚の予定。1日に2枚のペースで作っている。
・一枚当たりの費用;(3000+683)/41≒90円(水着生地30枚として)
41枚を洗って使用するから2巡目で論理的枚数は82枚になり、(3000+683)/82≒45円/枚。同様の計算で3巡目では、30円/枚となり使えば使うほどコストは逓減していく。
・使う頻度は、家族が週2回買い物をすると一年53週で106回、筆者が週2回の外出運動、通院で計10回で116回。合わせて222回の外出、他外出を含めると230枚のマスクを使う計算になる(外出自粛期間を1年として)から、単価は16円になる。(手洗いの水道代、洗剤費用、ガーゼ代等は含めていない)

amazonでマスクを調べてみると、50枚セットで1枚当たり62円から直近では30枚セットで1枚当たり146円になっていた。現在のところ、相場は100円/枚位らしく、日本は各国とのマスク争奪戦に負けているというニュースがあった。家族が言うには、コロナ騒動の前は1枚10~13円くらいだったらしい。

使い捨てマスク1枚100円として、230枚の購入費用は23,000円になる。そしてこれらは使えば再利用はできない。

(参考)マスクの型紙(子供用)

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・大人用は「各辺を1.5㎝ずつ拡大」とあるが、この型紙の輪郭を+5mmにして描いて作ればいい。