遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

時間の不思議

時間というものは
運動や変化がおきてはじめて認識できるものであり、
運動や変化がなければ時間もない
アリストテレス(前384~前322) 『自然学』

飛ぶ矢は、どの一瞬一瞬でも静止している。
静止している矢をいくら集めても、飛ぶ矢はあらわれないはずだ。
したがって、矢は飛ぶことができない。
ゼノン(前490頃~前430頃)
ゼノンのパラドクスの一つ 「飛ぶ矢は飛ばない」

物理学はまだ、時間の正体をつかみかねている。
リー・スモーリン(カナダ ぺリメター理論物理学研究所)

 

アインシュタインが現れるまで、時計が遅れたり早くなったりすることはあっても、基準となる「真の時間」が存在しているとされてきた。ニュートン絶対時間である。
アインシュタインが、「相対性理論」で、時間も空間も伸び縮みすることを示し、時間は絶対的な時を刻むものではなくなってしまった。

それ以来、人々の世界観が大きく変わったといわれる。
それまで絶対的に確かなものと信じられてきたものが、なくなってしまったのだから。

時間が伸び縮みするということはどんなことだろう。
ちょっと、部分的にでも中学生の知識で理解できるように資料を見て考えてみましょう。

今、宇宙船内の床に光源を置き、高さhの天井にその光が届くのに要する時間をt1とし、光の速さはCとする。

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そうすると、天井に光が到達する時間は、

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アインシュタインの頭のなかの思考実験から生まれたのですが、数式が意味するのは、宇宙船の中の時計と、宇宙船の外の時計では、時間の進み方に差があるということが理解して頂けるでしょうか。

飛行機に乗っている時の時間は、ゆっくり進むのですね。
ほんのちょっと歳をとる時間のスピードが、ゆっくりとなる時間差ではありますが、あまり現実的ではありませんね。

時間の本質は、アリストテレスの時代から現代に到るまで、まだ謎のままなのです。

【出典】ニュートン別冊 宇宙や法則がよくわかる やさしい数学の世界 2009年1月