「自由、平等、博愛」と「どんぐりコロコロ」
歩くスピードは、人によって様々です。
早い人、ゆっくりな人、それぞれその身体に備わった固有のリズムで歩いています。
いつものように朝、駅に向かって歩き出しました。
モンモの歩くリズムは、何を隠そう、「自由、平等、博愛」なのです(爆)。
「ジーユウ」を抑揚をつけて唱えながらニ歩、同様に「ビョードウ」でニ歩、そして「ハークアイ」でニ歩。
それを一単位にして繰り返すのです。
その日の朝も、
「ジーユウ、ビョ-ドウ、ハークアイ」と軽やかに駅へ向かって歩いておりました。
車の入れない、人もあまり通らない入り組んだ細い駅までの近道を、
「ジーユウ、ビョードウ、ハークアイ」
遠目には行き止まりに見えるところを右へ曲り、すぐ左へ曲がって、あとは真っ直ぐ…と思いきや、
およっ!?
行き止まり?
道がなくなった?
その細い路地の先には、小型車の後ろ姿が見え、道の空間一杯を占有しているではありませんか。
通れないジャン!!
と、しばしの距離を残して立ち止まり、すかさず右への路地を曲がりました。
なーんで、なーんで、あんなところに車があるんだ?
バックであそこにわざわざ、車を入れるのも変だし、なーんでさ?
車の通り道へ出て、抜けるはずだった路地の出口のその車のところを通って見たら、
なんだあー?…車が、ハマッタ?…どーして、ハマルんだ?
なんと、その小型車は、駐車場の壁と建物の間に、見事にガッチリ隙間なく挟まってしまっていたのです。車の前で、ボーゼンとしたドライバーとお巡りさんが、挟まった車を見つめていたのです。
前にも後ろにも進めず、立ち往生。
どんぐりコロコロ、どんぐりコ、お池に嵌まってさあ大変、どじょうが出てきてこんにちは~♭。
口をついて出そうになった歌を、ぐっと我慢して通り過ぎたのですが、いつのまにか、
「ジーユウ、ビョ-ドウ、ハークアイ」から、
「小型車コロコロくるまさん、小道に嵌まってさあ大変、モンモが出てきてコンニチハ~♭」
に変わってしまいました。ビミョ-に、リズムが違ってしまって、ちょっと歩き方がギクシャクしてしまいましたが。
それにしても、あのドライバーは、どうやって車から脱出したんでしょう。
しっかり壁と建物の間に嵌まっていたので、ドアなど開きません。
運転席から、腹ばいで、バックのドアを開けて脱出したのでしょうか。
後日、細い道の入り口の辺りに、白と赤に塗られたポールが立っていて、こう書かれていました。
「車進入禁止」
当たり前じゃ!!こんなところを車で進入するようなドライバーは、あいつしかおらん!!
一体どんな「車両感覚」をしておるんだ!?と、
その朝は、「どんぐりコロコロ」になってしまいました。
あ~あ。