徹夜宣言
これは、5~6年前の仕事にしているコンピュータに関する話しです。
大規模なシステムの入換え、リリース、稼動開始ともなると、大変大掛かりなものになります。大きなトラブルが起これば、顧客に迷惑をかけるし、システム部門への信用も無くしてしまいます。
翌日の休日に、そんな大規模なシステム切替を控えた最終確認の会議でのこと。
大手パートナー会社のメンバー、ハードベンダー、我が社のメンバー、総勢約30名くらいだったでしょうか。
もう一つの全体会議が終了した後なので、夕方5時頃だったと思います。
最終確認なので、翌日のシナリオは既に出来ており、もめることはありません。
モンモは、そのプロジェクトのリーダでしたから、当然会議の主催者でした。
担当者ではないので、詳細な確認内容の突っ込んだ部分までは分かりませんが、
プロジェクトが上手く行くように問題をさばき、人物金を調達し、計画を作り、
人に動いてもらい…と、要するにプロジェクトを運営・推進していくのが役割になります。
せいぜい一時間くらいかな、と会議を始めたのでした。
最後の局面、システムのセットアップ手順は終った。
あとは、最後のシステムの立ち上げ手順の確認です。
立ち上げ手順をメンバーが説明し終わったその時でした。
メタボ不眠症のアンアンが、突然発言したのです。
「この立ち上げ手順じゃダメです。動きません」
な、なんと…、メタボちゃん、ったら。
これをキッカケに、会議はざわついてきました。
長い準備期間を経てきているのに、今更スケジュールを変更するわけにはいきません。
休日しか作業はできないので、一週間が飛んでしまい、その後の日程にも影響するのです。
スケジュールや要員調整上、言語道断。
なのに、なのに、アンアンは、
「今から検討しても、徹夜になります」と、平然と追い討ちをかけてきます。
モンモの隣りに座っていたアイの、握り締めたコブシが震えていました。
(い、いまさら、言うな!!)
パートナー会社のメンバーも、「確認したじゃないですか」と、アンアンに抗議します。
ひとしきりのざわめきが一巡し、処置が無くなったのか、静かになってメンバーの
視線がモンモに集まってきました。
しばしざわめきの中を、たゆたっていたモンモではありましたが、
ならば、言わずばなるまい。ウラメシヤ~、と。
「いいんだよ~、アンアン。徹夜したって~。」
…一瞬、場が凍りつきました。
アンアンは、聞いてはならないものを聞き、見てはならないものを見たかのように、
目をマンマルにして、「ギョッ」とした表情で固まっています。
モンモはお化けじゃ無いモンモン…。
時を与えず、モンモは始めました。
「じゃあ、最初から確認ね、もう一回説明して〇×さん…。アンアン、どこがダメか言ってね」
………
そこが、そうなって、ここが、こうなって、どこがダメ?…フンフン、でこうなればいいのね。
………
徹夜宣言の前に、真剣になったメンバーの検討が成って、ハイ出来あがり。
思わず時計を見たら、およよっ、・・・・。
「アンアンさあ~、30分で終ったよ。よかったね~、徹夜しなくって・・ルン♪」