オイラーの公式へ(1)ε-N論法
脳みそは筋肉である。
訓練しなければ、筋肉は衰える。
モンモ・カフェオーレ卿
驚くべきは、数学はその本性により、民主主義的だということだ。・・
数学の資源と数式は、すべての人に同じように理解され、
等しくみんなのものになる。数学的知識は誰にも独占できない。
数学的概念や数式を、自分の発明品だと主張することは誰にもできない。
数式では特許は取れない。
エドワード・フレンケル『数学の大統一に挑む』文藝春秋2015年
ブログではこれからなのだが、個人的にはようやく「オイラーの公式」にたどり着いた。
「n→∞のとき(剰余項)→0なら、関数f(x)はマクローリン展開できる」
オイラーの公式に至るには、ここが山場になる。
とはいえ、ここに来るまで、実は小さな峠をいくつか越えなければならない。
なにせ、モンモは文系である。
高3で昔の「数Ⅲ」、受験は「数ⅡB」まで、大学1年で「解析入門」を勉強したものの、以来長いブランクがあった。
剰余項の処理をめぐって、「どうするんだっけ」と微分の道を遡っていくうちに、
逆関数や合成関数を含む微分公式の証明、ε-N論法、ダランベールの判定法、高次導関数、ロルの定理、(コーシーの)平均値の定理、ロピタルの定理、2回微分による変曲点を含んだ関数のグラフ、そしてようやく「曲線の近似式」へと至ることになったのだった。
上記の各項目を全て学習しなくても、それなりに必要な項目だけつまみ食いをして、「オイラーの公式」にはたどり着く。しかし、それじゃあ、オイラーに失礼というものだろう、と「オイラ」は思ったのだ。
なので、いくつかの練習問題をこなしつつ、身体「筋肉」を使った。
「脳みそは筋肉である」という持論に忠実に、「筋肉」を鍛えようと思ったのだ。
「訓練しなければ、筋肉は衰える」
最初の関門は「ε-N論法」。
「ε-N論法」は、後で出てくる「ダランベールの判定法」の証明に使うので先に載せておきましょう。
という定義を使った証明法なのだが、いきなりではなんのことか分からない。具体的に簡単な問題で紹介すれば次のように使う。
高校数学だと、分子分母をn(の二乗)で割るなどしてn→∞にした処理をしてしまえばそれで終わるが、厳密にはこのような証明に使うというのだ。
「ε-N論法」は「数列の極限」だけでなく、上記と全く同じではないが「関数の極限」「関数の連続性」でも証明に使われる。
このブログではオイラーの公式に特化するので「数列の極限」についてだけにとどめておきましょう。
これを使う証明は、感覚的になじみにくいのでいくつかの問題をこなした方が身につくと思うので、もう一つ簡単な例題を載せておきます。
「オイラーの公式」記事を続けると、数学にはなじみの薄い方には申し訳ないので、とりあえずは「自然科学」のカテゴリーにしておきますが、後日、別カテゴリーを用意するので、そこにまとめて読めるようにしていきます。
なので、通常記事を織り交ぜて、なるべく数学記事は連載とならないように書いていきたいと思っています。