負けるもんか!「成果主義」
頑張っていればいつか報われる。
持ち続ければ夢は叶う。
そんなのは幻想だ。
たいていの努力は報われない。
たいていの正義は勝てやしない。
たいてい夢は叶わない。
・・・、けれど、それがどうした。
スタートはそこからだ。
新しいことをやれば、必ずしくじる。
腹が立つ。
だから寝る時間、食う時間を惜しんで何度でもやる。
さあ、きのうまでの自分を超えろ。
きのうまでのHondaを超えろ
負けるもんか
(ホンダのCMから)
1969年7月20日、人類は月へ降り立った。
冒頭の言葉を、TVコマーシャルで観た人も多いだろう。
共感する人も多かったのではないか。
人間の歴史は、失敗の歴史であった。
数多く積み上げられた失敗の上に、数少ない成功があったのだ。
だから、新しいことに挑んだ失敗には価値がある。
失敗に学び、教訓を得、その繰り返しの果てに、努力が報われ、
文明は進展してきた。
報われるのは、ほんの少数の人々だが、
成功は多くの人々の失敗の経験に負うている。
なのに、多くの組織で成果主義の人事制度が作られてきた。
失敗は、人事考課でマイナスの査定となる。
だから、挑戦しない。達成が確実な「こじんまり」とした目標だけを掲げる。
小舟でクジラを獲ろうともしない。
経済が停滞し、かつての経済成長など望めなくなって、
内向きの強制力が社員を苦しめる。
「マネージメント強化」
それさえ唱えれば、この組織の停滞が打破できると思っているかのようだ。
エネルギーは、外へ向かっていなければならない。
夢に向かう努力は、人々の意欲に支えられている。
その意欲を、「成果主義」が阻んでいるように見える。
マネージメントは、社員一人一人の業務を、事細かに管理することではない。
「マネージメント」の生みの親であるドラッカーが言っている。
最高のマネージメントは、社員にマネージメントを意識させない。
「マネージメントの強化」が言われ続けて、もう20年以上になるが、
マネージメントの内容について、いまだ誰からも、聞かされたことがない。
成果主義を言うのなら、社長や役員の業績も、目標を掲げ、それがどれだけ達成されたかを株主総会で報告し、その報酬が定められねばならない。
が、そうなっていると自信をもって答えられる会社は、どれだけあるだろう。
バブル崩壊以降、多くの組織で採用した「成果主義」。
「失われた20年」が、その答えだ。
もうその失敗から、学んでもいい頃だ。