遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

アインシュタインまでの距離

未知こそ自由だった。
誤りすら可能性を作り出し、
同じ誤りの中で堂々巡りをせぬ限り、
一つの思考が、必ず、
次の思考の道しるべとなる。

星は答えない。
決して拒みもしない。
それは天地の始まりから宙(そら)にあって、
ただ何者かによって解かれるのを待ち続ける
冲方丁 『天地明察』 角川文庫)

 

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プレアデス星団

書棚の科学関連の収納区画に、ケプラー『宇宙の神秘』とともに、厚い箱入りのりっぱな装丁の2冊の『アインシュタイン選集』が納められている。随分昔に手に入れたのだが、さすがにいきなりは読めない。

その前に、大学初年級向けに書かれた砂川重信『物理の考え方1~5』を読もうと思い、しかしその前に高校レベルの物理を再学習しているというのが現状だ。
それでもようやく「力学」の範囲が終わろうとしている。
さほど難しい問題はせずに、教科書、参考書レベルの基礎的な問題しかやっていないが、書き溜めたノートはA4版ルーズリーフで190ページほどになり、高校の定期試験対策にはほぼ完璧だろう。
ひょっとしたら現役高校生にコピーが売れるのではないかと、良からぬこともふと頭をよぎる。
万有引力による位置エネルギー」に関する問題をもう少しやれば、「熱力学」へと進めそうだ。
ただ、物理の計算はややこしく、面倒なのが多いから、当然電卓を使う。
しかし、こんなこともある。

【問題】
地球の赤道上空を、地球の自転と同じ周期で等速円運動をする人工衛星の地上からの高度を求めよ。
(注;こうした衛星は地上から見て相対的に静止して見えるので静止衛星と呼ばれる)
36000キロメートル、と答えが先に頭に浮かぶのだが、これを求める過程で思わず足踏みをしてしまう。
地球の質量;M〔㎏〕
人工衛星の質量;m〔㎏〕
地球の中心からの距離;r〔m〕
等速円運動の角速度;ω〔rad/s〕
周期;T〔s〕
万有引力定数;G

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とここまではいいのだが、3乗根に若干不安を覚えつつ、3乗になるような数値に計算すればいいんだと、具体数値を代入して電卓で計算すると

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さて不安は的中し、75.289の立方根を求めればいいのだが、電卓の機能に立方根を求める機能はついていないし、「あ~あ、メンドイなぁ」。しかしこのくらいで面倒と思っては先へは進めない。

試行錯誤で4.22<X<4.23の間の数を探して、4.223と決めるまで、電卓で何回か計算するのに時間がかかってしまう。有効桁数を小数点以下何桁にするかはお構いなしに、桁数が多ければ正確さに近づくだろうと電卓でパコパコ。
電卓を使ったからと言って必ずしも楽になるわけでもない。

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まあ何とか36000キロメートルとなったのだが・・。

高校生は試験で電卓は使えないからこうした問題は、やったことがなければ筆算でしなければならない。ただの計算なんだから電卓持ちこみでいいのではと思ってしまうが、どうなのだろう。

それともそもそも超基本問題だから学校の定期試験にも出ないのかもしれない。
とまあ、こんな状態だから、ダ・ヴィンチ連載も書かねばならないこの身にとって、アインシュタインの本を開く日は来るかしら、と思いつつ、或いは「二兎を追う者は一兎をも得ず」はモンモのためにある言葉かも知れないと思いつつ、しかし、ただ一度の人生、悔いなく生きるためならば、今やらずしていつやるのか?
皆さんの声がいっせいに聞こえるような気がする。「今でしょ!!」。

(注)ノートの内容をコピーしたので読みにくい部分はご容赦ください。