遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

リフレッシュ休暇の勧め

均質化、同質化の論理が、サービスや製品の品質管理にとどまらず、
日本社会のかなり根深いところにまで浸透しきっている・・・
人間そのものまでが、この論理でがんじがらめにされている。
一番典型的なのが、教育の現場だ。
本来能力をのびのびと伸ばすべき現場で、
個性の芽を摘む標準化が最も進んでいる。
何かできないことがあると、
それを補うことばかりに関心が働いてしまい、
せっかく才能の萌芽があっても、それを育てよう、
伸ばそうという土壌がない。
茂木健一郎 『奇跡の脳の物語』)

無能を並の水準にするには、
一流を超一流にするよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。
しかるに、あまりに多くの人たち、組織、そして学校の先生たちが、
無能を並にすることに懸命になっている。資源にしても時間にしても、
有能なものをスターにするために使わなければならない。
ドラッカー『P・F・ドラッカー経営論』)

 

連日日本列島は、猛暑、酷暑の日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。
お盆も過ぎて夏は後半戦ですが、夏休みをとって心機一転、新たな気持ちで仕事に取り組んで下さるよう願っています。

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リフレッシュといえば、以前リフレッシュ休暇というのが会社の人事制度にありました。今は合併などで制度は変更になっていますが、まだ少しはのんびりしたところがありました。

勤続25周年、30周年という節目に、旅行券を会社から頂いて、連続して1週間の休暇が取れるのです。暇なわけがありません。普通の夏休みだって、なかなか連続してとれないというのに、加えてその時は、会社の業務用ネットワークを新しくする作業を技術部門と共同で行っていました。

口の悪い配下のヤマが言います。
その責任者が一週間の夏休みだと?
職場のメンバーだって、休暇取得はままならないのです。
いや、一ヶ月
えっ、・・・
ヤマは、唖然、呆然、さすがに言葉もないでしょう。
プロジェクトの責任者が一ヶ月の夏休み、いったい何を考えているんだ?

理屈はこうなのです。
夏休みで一週間。
勤続25周年のリフレッシュ休暇で一週間。
勤続25周年か、30周年の時のいづれかの時に取得できるリフレッシュ休暇一週間。そして貯まった有給休暇から一週間。
どうだ、これで一ヶ月だ
そういう問題じゃありません、仕事はどうするんですか
モンモが不在でも、運営できればいいんだろう?

少人数の職場でしたから、モンモの代わりができる役職者は係長一人しかいません。しかし、彼はちょっと頼りなく、横柄な態度をとることがあり、メンバーには人望がなかったので皆、不安だったのです。係長主査の主査をもじって「チュチャ」とも呼ばれていました。

係長には、「いいかお前が、モンモの代わりを頑張ってやるんだぞ」と言いつつ、一方では長年一緒に苦労してきた技術部門のエンディ(課長)に「一ヶ月不在にするけど、モンモの代わりを頼む」とお願いし、部長にも了解してもらい、日常業務はしっかり者の女性の主任を中心に体制を組み、メンバーにも夏休みのローテーションを組ませ、
ね?だから大丈夫でしょ、でしょ?、リーダが率先して休みを取らなくちゃね。
日本人は働き過ぎ
などと言いつつ、一ヶ月の長期休暇に入ったのです。

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最初の一週間は、なにかと職場のことが気にかかり、時々「大丈夫か」と電話を入れました。次の一週間は、気になりつつも、「ま、いいか」と電話はしませんでした。
三週間目は、仕事のことなどモンモの頭から一掃されていました。
そしてなんと四週間目には、驚くべきことに、会社に行きたくなったではありませんか。

そして休暇明け、心身共にリフレッシュして、何事もなかったように仕事をしていたのですから、これにはモンモもびっくりです。
そうなんです、これが「リフレッシュ休暇」の意味だったのです。
「フランス人は一ヶ月のバカンス」とよく聞きますが、その意味が納得できる一ヶ月でした。
長期のリフレッシュ休暇は、職場風土など色々あって大変難しいでしょうが、確実に職場や本人の生産性を高めるのではないでしょうか。
一度、試されてはいかがでしょう、「ヤル気向上」は請け合います。