泥だらけの球児たちへ Seishun Line
お盆も過ぎて、残暑が厳しい日が続く。
それでも例年より早く、大気は秋の気配を纏いつつあるようだ。
海へ、山へ、海外へと、夏休みは楽しく過ごせただろうか。
北海道・富良野
甲子園では球児たちの戦いが続いている。
その場所は、青春の輝かしい象徴でもあるのだろうが、
たどり着かなかった多くのチームにも、試合に出られない選手にも、
そこを目指して過ごした日々は、かけがえのない青春だろう。
今、この時を一心不乱に白球を追っている選手を見ながら、
何かに夢中だった若かりし日々を懐かしく思う人も多いのではないか。
地方大会が行われている頃、
思わず、新聞に郷里の母校の試合結果を探した人もいただろう。
もう何十年も甲子園には無縁の母校を思いつつ、
太田幸司の三沢高校vs松山商業の引分け再試合や、
蔦監督率いる池田高校vs桑田・清原のPL学園の熱闘、
簑島高校vs星稜高校の延長18回のドラマなど
かつての名勝負をつい思い浮かべてしまう。
TVに映る選手たちのプレーには、
私たちが見ることもない泥だらけの練習の日々が隠されている。
どんなに華やかに見える舞台にも、その陰には、
人に語られることのない厳しい鍛錬の日々がある。
夢を目標に置き換え、実現のための手立てを講じ、訓練を繰り返す。
そして大抵、望みは叶わない。
しかし、その鍛錬が人を造る。
一流のプロフェッショナルには条件がある。
10000時間という訓練の時間だ。
毎日3時間の訓練、それを10年間続けるというものだ。
イチローしかり、将棋の羽生名人しかり。
小・中学校と、リトルリーグにいた選手も多いだろうから、
高校までにほぼ10年に近い鍛錬を積んだ選手が甲子園に集う。
彼らはプロ野球選手ではないが、プロフェッショナルだ。
それを知らない元アナウンサーのような人が、超スローボールを投げると
「世の中をなめた少年になっていきそうな気がする」などと言うのだ。
プロはプロを知る。
少なくともこの元アナウンサーはプロフェッショナルの神髄を知らない。
スターウォーズ
輝くには輝くだけの泥だらけの日々がある。
それが彼らの誇らしい青春だ。
そして君にも誇らしい青春と呼べる日々があるなら、
それはきっと「泥」にまみれているだろう。
そんな君に、そして誇らしくも甲子園に散った敗者に、
いきものがかり 『Seishun Line』(You Tubeより)を贈ろう。