遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

東日本大震災から4年

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしはあなたを抱きしめてキスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて抱きしめただろう
(ノーマ・コーネット・マレック;米国詩人)

時は流れない。
雪のように降り積もる。
人は優しくなったか。賢くなったか。
(2012年3月11日読売新聞)

 

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(2015年3月11日読売新聞 名取市閖上

 

何か大きな出来事があると、人はその時何をしていたかをよく覚えている。
東京大空襲8月15日ケネディ大統領暗殺東京オリンピック開会式人類初の月面着陸9.11、そして3.11など、その人が生きた時代の、その時の出来事をいつまでも記憶にとどめている。

多くの映像、写真、記録が残り、時が経てば記憶は文字や数字に変換されていく。
「記憶を風化させてはならない」と聞くが、出来事を経験した人々にとって記憶は風化しない。

人々は語り継ぎ、教訓を残し、石碑や震災遺構を残し、社会のDNAとして後世に繋いでゆく。そうやって社会的記憶は歴史の記録に置き換えられながら、人々に伝わっていく。

東日本大震災から今日で4年が経った。
死者・行方不明18、475人(3月10日現在)、震災関連死3、222人(岩手、宮城、福島2月末現在)、今なお228、863人(2月12日現在)が避難を余儀なくされている。

被災地の人口も減少し、人手不足から復興も遅れ、傷んで狭い仮設住宅に残された人々の精神疾患も多く報告されている。生活再建ができる環境にない人々が徐々に取り残され追いつめられているという。

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サモトラケのニケ BC190年)

 

4年という歳月の道のりを想い、そして明日に続く道のりを見つめる。
まだ復興も手つかずの地域があり、新しい街並みが出現しつつある場所がある。
復興は不均等だが、残された者は、死者たちの声を聴きながら、この先の一日一日を未来に積み重ねる。

その先に、いつか廃墟の風景は、人々の営みの風景へと変わって行くことだろう。
四年前と違い、雲が強風に散って、今日の空は青く眩しい。
被災した人々のこれからの日々が、今日の空のような日であって欲しいと願わずにいられない。

今日、被災地の空は、どんなだったろうか。
喪失感を抱えて時間がとまっている人々に、時は優しく過ぎてほしいと思う。還らぬ犠牲者たちの冥福を祈り、また明日からの一年を踏み出して欲しいと願う。