遥かなる「知」平線

歴史、科学、芸術、文学、社会一般に関するブログです。

上司に逆らえない企業風土

王が王であるのは、臣下が(彼を)王とするからだ。
カール・マルクス

あいつ(JFK)は、そうしなければならないときは、
いつも正しいことを言うことができる。
(ジョゼフ・ケネディJ;JFKの兄、第2次世界大戦で戦死)

巧言令色、銭を貪るは、論語を講ずるものの内にあり。
福沢諭吉;「文明論之概略」)


東芝は7月21日、3代の社長の在任時に、合わせて1500億円の利益かさ上げが行われていたという不適切会計の責任をとって、田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聡相談役の歴代3社長が辞任しました。取締役の半数にあたる8人が引責辞任する異例の事態になりました。

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コンプライアンスがうるさく言われる時代に、天下の東芝がいったい何をしているんだろうとちょっと信じられないのですが、内部統制もきかず、監査もその役割を果たしていない、・・・とまあ、三者調査委員会の報告なのですが、それはそうでしょう、いくら立派な制度を作っても、経営トップがきちんとした見識を持たなければ大きな不正を自覚なしにおこなってしまいます。

多分本人たちは、「会計処理の認識にちょっとしたズレがあっただけ」と思っているのでしょうね。「部門内の常識は会社の非常識」「会社の常識は世間の非常識」「日本の常識は世界の非常識」の構造と同じなんでしょうね。

3日で120億円の利益を迫る「チャレンジ」という名の成果主義成果主義もたまったものではありません。「上司の意向に逆らえない企業風土」があったとも指摘されています。

「上司の意向に逆らえない企業風土」ねぇ~、そういえばモンモのいた職場で、昔こんなことがありました。
直属の上司である部長から、会社と取引のある人のサーバーを、モンモの会社がコンピューターの運用委託をしているベンダー企業に設置・管理してくれないかと言われたことがありました。

「えっ、それって利益供与じゃないですか、そんなことしたらダメですよ」と諭したのですが、部長は何のことを言われたのか理解できなかったようで、
部長の俺が言ってもダメなのか!」と返してくるのです。
あらら、わからん部長だな~と思いつつ、
ハイ、ダメです」とにべもなく断ったのでした。
その後、部長席のそばを通ったとき、その取引相手と電話している声が聞こえました。
「利益供与になるから、ダメなんだって」
なんだかなぁ、そのくらい自分で最初から断れよ、と笑ってしまったのです。
大丈夫かなぁ、この人。

暫くして、部長は異動していったのですが、異動先が確かコンプライアンス部門だったように記憶しています。う~ん、この会社大丈夫?、と思ったのでした。

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自由にものを言える企業風土がいかに大切かですね。
そのためには、個々人がきちんと意見を自由に言えなくてはなりません。職場の皆が毎日の仕事の中でそれを心掛けていけば、少なくとも上司が「分からんチン」なら「上司に逆らって」会社を守ることはできると思います。

「上司の意向に逆らえない企業風土」は、「総理の意向に逆らえない自民党」や「自民党の意向に逆らえないマスコミ」と同じですね。新国立競技場の「ゼロベース見直し」だって、関係者から異議がでなかったことも情けないですしね。

マスコミも言論界も、少しづつ少しづつ「ものが言えなくなってきている」のかも知れません。日本が「東芝」にならないようにしたいものですが、さて、皆さんの職場はいかがでしょうか。